2011.11.09
INTERVIEW 003:
Jipijapa KAGA DESIGNED
服の持つ楽しさや可能性を常に追求する<Jipijapa>。日本のファッション黎明期から活躍し、今も進化し続けるデザイナーの加賀さんに話をお聞きしました。
ストレートなもの作りをしてきた。
ー加賀さんのクリエーションというと、その独特な着眼点と発想を具現化する方法論の素晴らしさが特徴の1つだと思っています。まずは、どのような心積もりで創作に臨んでいるのかお聞かせください。
加賀清一さん(以下、加賀さん):まずは自分の声に向き合うってとこですよね。考えたものを最終的に存在する何かとして結実させる作業ですから。最大限の効果を発揮するために常々考えているのは「どこまでオリジナルなのか?」という自問自答でもあります。
ーそれは、あまり他所の動向に左右されたくないということですか?
加賀さん: というよりも、感受性が強いといいますかアウトプットは鎖国状態でやらないと影響をどうしても受けてしまうんですね。なるべく外は見ないようにしないと、内から出てくるものに少なからず作用してしまうので…。10で及第点だとしたら20の完成度を目指したいんです。<Jipijapa>を通してプラスの何かを足すことによって、それを実現させていければいいなと。
ー長年、最前線でご活躍されている秘訣はその探究心も要因の1つかと思いますが、モチベーションを保つのは大変ではないのでしょうか?
加賀さん:困らせたいと思っているわけではないのですが、工場の方やパタンナーに「こんなの出来ない。やったことない」とか言われるとワクワクするんですよね。だって、それって今まで誰もその手法を行ってないということになりますから。つまりは「加賀さん発のスタンダードだね」と認められたいというのでしょうかね。
ー例えばその手法などが模倣されたりするのは腹立たしく感じられたりしますか?
加賀さん:いや全然(笑)。コピーされるのは本当にまったく嫌じゃないんですよ。その代わり「俺のことも忘れないでー!」って思いますけど(笑)。洋服は1から全てオリジナルというのはないですから、真似るのであれば元ネタを超えるものを目指さなければなりません。逆に考えると、ぼくの手法を模倣してもらえるというなら、ぼく自身はそれに対する責任感を持たないといけないなって思います。
ーつまり、試行錯誤によるクリエーション活動がモチベーション維持の根幹ということなのかも知れませんね。
加賀さん:それもありますが、やっぱり洋服は面白いんですよね。着るのも作るのも。
本当のコラボレーションを作る関係性。
ーそんな加賀さんから見て、ビューティ&ユースはどのように捉えていますか?
加賀さん:ユナイテッドアローズという会社が持つ源流の匂いがします。バイヤーの熱意とか顔が店頭に並ぶアイテムから感じ取れると言いますか…。まずはバイイングで「コレが欲しい!」という衝動が必要なのだと思うのですが、規模が大きくなると薄れていく部分でもあるじゃないですか。そこが生きている印象です。売れるかどうか、が最優先なのではなくて、カッコイイが頭に来るという部分ですよ。

終始笑顔を絶やさず、分かりやすい言葉で語ってくれる加賀さん。
ー洋服屋は格好が良くないといけませんからね。
加賀さん:時代に合わせた提案が上手い印象です。引き出しの量が多いのでしょう。バイヤーの皆さんも積極的にディスカッションしてくれますし、作り手としてもエキサイティングに関わっていけるのは非常に嬉しいことだと思っています。
ー歴代のバイヤーに聞くと、みんな驚くのが「加賀さんにはどんな依頼をしても、最終的には加賀さんのものだって分かるものが完成する」という点でした。
加賀さん:シーズン毎に設定されたディレクションテーマを元に、クリエーションを行ってきましたが赤字覚悟でも突き詰めると、やっぱり良いモノができちゃうんですよね(笑)。そういう意味でビューティ&ユースとなら本意気のコラボレーションができるって思っています。与えられた御題に対して、ぼくなりの答えを出すのが役目ですし、やっぱり100点満点を目指したいじゃないですか。
海外へのコンプレックスはもう、ない。

加賀さんのクリエーションを感じ取る事ができる作品。一枚仕立てで誂えた超絶技法の定番ジャケットです。
ー今では独自のポジションを確立した加賀さんですが、どのようなものに影響を受けたのでしょう?
加賀さん:アメリカは大好きでしたね。若い頃はそりゃもうムキになってかぶれたものです。当時は海外の情報も少なかったですし、アメリカンホームドラマには夢中になりました。あの何気ない向こうの暮らしが垣間見えるドラマが、情報源でしたから。
ーアメリカにかぶれていたとはいえ、加賀さんのモノからは日本らしさや無国籍な雰囲気を感じ取ることができます。
加賀さん:ヨーロッパっぽいものやチャイナを始めとしたアジアの要素もあります。やっぱり感受性が強いものですから(笑)。ただ、色々なものを見てきて自分流の切り口やスタイルが分かってきてからは海外へのコンプレックスはなくなりましたよね。そりゃ日本人ですから、モノを通して日本らしさは滲み出てきます。それも超越して、加賀清一の匂いを感じてもらえたら嬉しいですね。もう30年もやってきてますから、今後もカッコイイと思ってもらえるよう、とんがっていきたいです。

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加賀清一 (かが せいいち)
10代のころ、アメリカンファッションから多大な影響を受け、ファッションの道へ。「スキップ&ピー」「インテリア・エクステリア」を経て<Jipijapa>をスタートさせる。普遍的でありながら、氏でしか作りえない独創的なクリエーションで有名。ユナイテッドアローズ社では創業以来の関係性を継続している。