2011.11.23
INTERVIEW 004:
Flaph
ブランド名の<flaph>とはイギリスのスラングで「綿ぼこり」を指し、そのフワフワ浮いている邪魔にならない程度のニュアンスが理想に近いことから名付けられたとか。独自の存在感を持つ<flaph>を取り仕切る立木さんに、じっくり話を聞きました。
好きなファッションのテイストは原体験から変わらない。
ーリアルなストリート感を感じさせながらも、決してそれだけで終わらないスタイルを確立している<flaph>ですが、立木さんがファッションというものに興味を抱いた経緯というのを教えてください。
立木輝樹さん(以下、立木さん):中学生くらいまでは家にあるモノを着るってだけで無頓着でした。ただ、母が用意してくれていたものが<PATAGONIA>だったり<GREGORY>だったり、その頃は分からなかったけど良いアイテムをチョイスしてくれてましたよね。その後、高校が私服のところだったのでちょっとづつ見ていくようになって…。まぁ、普通の少年でしたよ。
ーその当時はどのようなスタイルだったんでしょうか?
立木さん : 今とそれほど変わらないように思います。基本的にはルーズな感じといいますか楽なスタイルというか。当時からスケーターだったので動きやすい事を意識していた気がします。また、当時はメディアの打ち出しというかカテゴライズもハッキリしてた時代でしたけど、そういう物差しに括られたくないっていうか興味がなかったというのもあります。
ーでは、一貫してテイスト面などはベースの部分で変わらない、と。
立木さん : そうですね。例えばサイズ感なんかは変わっていったと思いますが、根っこの部分は変わってないでしょう。色んなスタイルを参考にはするのですが、原体験の頃からブレてはいないと思います。
ーそんな立木青年がファッションを生業にすることになったのは、何がきっかけだったんでしょう?
立木さん: イギリス留学ですかね。ロンドンのスケートショップ「SLAM CITY SKATES」でバイトすることになって、そこで<SILAS>の前身だったブランドなんかを扱っていたりしましたから、素直に面白いと思うようになっていったんだと思います。
ー確か日本人で唯一、そのショップで働いていたんだとか。
立木さん:ええ。今もそうなんですが、当時から自然な流れでっていうのが多いんです。どうしてもコレっていうような感じではないんですよね。帰国後は塾講師とかやってたんですけど、日本で<Supreme>がオープンするっていう時にスタッフ募集をしてたんでロンドン時代から気になってはいたし、これも自然と入っていった形です。
ーその後、2000年に「SILAS & MARIA」がオープンして…といった流れですよね。
立木さん:そうです。当時はもう、店内のものが売れすぎてしまって、陳列するアイテムがない状況になっていました。これではショップとしての体裁がとれないということで、じゃあ何かやるかっていう流れだったんです。
ー先ほど自然な流れというお話もありましたが、本当にそんな感じなんですね。きっかけや契機が向こうからやってくるといいますか、立木さんに引き寄せられうというか…。
立木さん:そんな流れでやって今に至るっていう部分もありますよ。展示会とか卸売りなんかも流れで始めた感はありますから。

2シーズン目の展開となる<Flaph>の2011年秋冬シーズンは、"The seasoning is a little bit different from usual!?"(普段と異なる調味料)と掲げ、シンプルな型に調味料(ポップなエッセンス)を加え、着る人が自分らしさを表現できるデイリークローズを展開。
便利さと思い入れのバランスは大事。
ー立木さんは今のファッションシーンをどのように捉えていますか?
立木さん: とても自由になりましたよね。メディアの押し付けはなくなりましたし、多種多様なスタイルが混在しているかと。ある種、ルールがなくなった部分もあるのかなぁと。
ー情報過多な時代ですから、取捨選択するスキルもないとブレるでしょうし。
立木さん :だからこそ、逆にチャンスだと思っています。新たなチャレンジはしやすいですから。全身同じブランドとかにリアルを感じないので、雑多な中でも独自の提案を受け入れてもらえると嬉しいです。
ー<Flaph>として表現していくものとリンクするのではないでしょうか?
立木さん: いつでも着られて、さらっとしたものが目指すところですから。今はネットの普及などもあり、1クリックで買える時代。かつてはローカルヒーローだったショップの販売員などもいて、どっちにもプラスとマイナスの面があるとは思いますが、そのグリップはしっかりしないと勿体ないですよね。そのモノを入手するための思い入れって便利であるほど薄れがちじゃないですか? 大切に愛されるプロダクトを作って、それを受け入れてもらえればハッピーだと考えています。
ーバックボーンまでも含めて、送り手の思い入れが伝えたい、と。
立木さん: はい。やはり元ネタだったり、好きなテイストって作ったモノから滲み出てくるものですからね。意図してなかったとしても出てきてしまうものだと思うんです。そこからルーツを辿るのも醍醐味だと。例えばパフ・ダディの「I'll Be Missing You」は大ネタ使いの1曲として有名ですけど、あれによってポリスの「Every Breath You Take」が再評価された側面もありますよね。服が持つバックボーンをそうやって深堀りするのも楽しいじゃないですか。

ダウンベストも<Flaph>流のフィルターを通すと、ポップさが際立ちます。
様々な手法で魅力を伝えていきたい。
ー今後はビューティ&ユースとどのような取り組みをしていきたいとお考えですか?
立木さん:バイヤーとの関わりも長い期間で培ってきたものがありますし、うち以外でも非常に魅力的なセレクトと上質なオリジナルが揃ってるショップという認識を持っています。イベントやインスタレーションを通して<Flaph>の魅力を訴求し続けていければ幸いですね。
ー他には何かやってみたい事などはありますか?
立木さん: ちょっと突拍子もないことかも知れませんが、ビューティ&ユースのオリジナルを手がけてみたいという思いはあります。ぼくの名前とかブランド名を出さずに、淡々と。特にシャツを作ってみたい。そういった流れが来ると嬉しいですね。
今シーズンは、伝統的なロゼットを国産のリボンを使用してオリジナルで制作するブランド <WHYTROPHY>にて作成された<Flaph>オリジナルのロゼットがシャツに付いての販売。先日行われたインスタレーションでは、そのロゼットがビューティ&ユ-ス別注にて登場して話題となりました。

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立木輝樹 (たつき てるき)
90年代にイギリスへ留学し、ロンドンのスケートショップ「SLAM CITY SKATES」に日本人として唯一勤務。2000年春夏シーズンから<Flaph>を立ち上げる。独特のカラーバランス、デザインワークなどによるPOPかつやわらかい印象のカジュアルアイテムを生み出し”POP’N’BASIC”を標榜している。